とにかく和穂に近付くと心臓が破裂しそうだから、離れようと一歩後ろに下がる。 でも… 「…おい、どこ行くんだよ」 あっさりと手首を掴まれてしまう。 言葉遣いが落ち着いてる。 熱があったのは嘘なんじゃないかって思うくらい。 でも掴まれてる手首からはかなり熱い熱が伝わってくる。 熱はあるみたい。 「離してよ、風邪移りたくないからあんたには近付きたくない」 真っ赤な顔でこの言い訳はキツいかもしれないけど、そう言って離れないことにはあたしの心臓のうるさい鼓動は収まらない。