ナンパ男がしつこい件について






「ていうか、椋太郎で呼べって。椋太郎。もっかい言ってみろ」



そう言うとこっちをガン見してきた。




「椋太郎」




「もう一回」




「…椋太郎」




「そのあとに『好き』ってつけてみて?」




こいつ、調子乗り始めてる…




「死ね」




「冗談冗談」



乾いた笑いをしながら食べていく変態男。




「てかいっつも男に対してそんな態度とってんの?」




「そんなバカな」



鼻で笑ってしまう。





「本当はもっと乙女だし。あんただからこんなことになってるの」




「へえ」




出た。聴いといてこの態度。



「もうやだこいつ…」




「次椋太郎ってよばなかったら巧さんに言うからね?」




その言葉に眉をひそめてしまった。




「ほんと、あんた…椋太郎きらい」




「はいはいはいはい」



はいは一回ってお母さんに教えてもらわなかったのかこいつ…!