ナンパ男がしつこい件について






メニューを引ったくってざっと見る。



カルボナーラでいいや。



そのままそれを奴の方へとやった。





「そんなに嫌い?」




「パスタは大好き」




「俺は?」




………なんでそうなる。




「大嫌い」




「なんで?」





「なんでって…」



口ごもる。




理由が、ない。




「…………」




「ないんだ?」




「るさい」




「そんなスカート短くて、メイク変えて、頭の天辺から爪先まで綺麗にしてるくせに」





…なんでそんなことわかるの。





「だから何」




「男もいないのになんでかなーって」




「そんなの、あたしの勝手じゃん」




たまたま、メイク変えようとか、久しぶりにネイルでもしようって思っただけだし。





「可愛いよ?」





発せられた一言に、ついつい驚いてしまった。




「可愛いって言えばいいって思ってるだけでしょどうせ」



動揺を隠すように必死に言う。