『あたしなんてどうせ、あいつに捨てられただけだから』
『それでも巧との間にできた、巧との繋がりを感じさせるあんたを愛せると思った。
だから産もうと思った』
ホテルでたまたま、 できてしまったあたしは
もともと愛なんてものどうでもよかった。
だってそれでバカみたいに毎日病んでたところで誰も近寄ってこない。
喜怒哀楽の哀を必死で押し潰してきた。
その原因は全部
ホストなんだから。
『惚れたんだよバーカ』なんて信じない。
『付き合いなよ』誰にでも言ってることくらいわかってる。
やっといつもの自分が取り返せた気がした。
「藪塚ー」
帰ろうと廊下に出た瞬間に呼び止められる。
振り向くと担任がいた。
「この書類、お母さんに書いてもらえるか?」

