よかった… あのとき。別れられないって思って。 「…ていうか電話出てよ」 「俺だって色々あったんだよ、許して?」 許すに決まってる。 「本当に、帰ってきたんだよね?」 「うん」 「もうどっか行かないよね?」 「当たり前でしょ?」 椋太郎はあたしを見ると笑顔になる。 それに釣られて、顔は綻んだ。 「ねえ…椋太郎…」 「ん?」 「大好き」 椋太郎は「俺も」と言った。