「雪だ…」 はあ、と息を出すと、窓は白くなった。 カレンダーは2月14日になっている。 あれから、椋太郎には一度も会えなかった。 バレンタインデーくらいになったらひょこっと現れてくれる。 それが片桐や椋太郎と関わってるみんなの、ほんの少しの希望だった。 家にも帰ってこない、あのバカは どうしようもなく会いたい、あのバカは まだ、誰の心にも引っ掛かったままの存在でいる。 それは………… もちろんあたしも含めて。