そして、顔を見て、 「お父さん」 と言うと、巧の顔は少し歪んだ。 「…くそ」 目は潤んで、鼻も赤くなってる。 「行けよ!」 「お父さん…」 「大切な彼氏のとこ、行ってやれ…」 こっちを見ないでそう言う。 あたしは「ありがとう!」とだけ言って、部屋を出た。 片桐優雅が、こっちへ来る。 その顔色は、あまりよくない。 「椋太郎と…連絡がつかない」