「たまたまできちゃったって、相手との愛がもうなくても………たった一人の父親にとってはくそみたいに大切な娘なんだよ」
大切な娘…か。
「だから彼氏ができたらそいつはうざいし、6年も会えてないし…」
「だからって、こんなことしなくても良かったじゃん」
「唯花のことを思うと無理だったんだよ、椋も確かに俺の大切な息子みてぇなもんだ。
でも、どんなに歪んでても…これは俺なりの『愛』なんだよ」
そう言うと、あたしを抱き締めた。
「なあ、一緒に暮らせないか…?」
あたしは、お父さんの背中に手を回した。
そして
「ごめん」
とだけ言った。

