ナンパ男がしつこい件について





「あんた、椋太郎に昨日、言ってたよな?こいつに今後一切会わない代わりに唯花を自由にするって」



あたしは目を見開いた。



「何それ…」




「巧さんは自分の娘を自分のところに置こうとしてたんだよ。でもそれはお前の望むことじゃねえだろ?」




片桐はわざとらしく咳払いをする。






「だから椋太郎はその条件飲んだんだよ」





「そん、な…」




「巧さんも、唯花も大好きだから。あいつ」





バカ…



「本当に…バカ…!」




涙が溢れる。



片桐がこっちに寄ろうとすると、




巧が殴った。




「何、お前は暴露してるの…」




「こんなのあんたらしくねえだろ…」





口の端についた血を拭う。




「そんなむきになるなよ、」




片桐の足がふらつく。



脳震盪起こしてない…?





「片桐…っ!」



「椋太郎のためならこれくらいするよ」