あれ?まだ来てない…
駅を見渡しても椋太郎はいない。
「おっとっ…」
ここの地面凍っちゃってるし…
後ろからサラリーマンがドンッとぶつかってくる。
「いって…」
しかも何事もなかったかのように通りすぎる。
…………
向こうから、走ってくる影が見えた。
あのシルエットは間違いなく椋太郎だ。
「椋太郎ー!」
椋太郎の方に走っていく。
と、道の真ん中で滑る。
「おっ…とっ…」
椋太郎はそれに気づいたのかいそいであたしを抱き締めるようにして支えた。
「大丈夫?」
「う、うん…ごめん、ありがと」
あたしの顔を見ると目を細めた。
「マスクしてるの珍しいね」
「ま、まあすっぴんですから」
そんなに変わんねえ、と呟きながら手を繋いでくれる。
「つべたっ!大丈夫!?」
椋太郎の手の冷たさは半端じゃない。
「走ってきたから寒くはないんだけど…」
わざわざ走ってきてくれたんだ…

