論文がよかった、それだけの理由で留学できるほど甘えてはいられない。
お金だってかかるし、まだわからないことだらけだ。
留学ならいくらでもチャンスがある。
それに、この答えが反応からして正解なような気がした。
コートを羽織って学校を出た。
椋太郎のところへ行こう。
駐車場に向かうと、椋太郎の車へと真っ直ぐ向かう。
助手席のドアを開けて
「ただいま!」
と椋太郎の上に飛び乗る。
「おかえり」
あたしは、椋太郎をぎゅううっと強く抱き締めた。
…こいつに一年以上会えないなんて無理だし。
「うまくいかなかったの?」
その様子を見て不思議そうに聞かれた。
「ううん、違う。内緒」

