椋太郎は前髪をくしゃっとさせる。 「椋太郎…?」 「あーあ」、と下を向きながら言い出す。 「ん?」 どうしたの?という意味をこめて言うと、 「それだ、原因」 あたしを指差す。 「…あたし?」 「その可愛い考え方だよ」 手をどけると顔が赤い椋太郎。 「か、顔赤…ひゃ!」 「そんな声出さないで」 突然顔に触れた手が冷たくて、肩が跳ねた。 「手、冷たいから」 「前からでしょ」 自分の支えになるように体の後ろに置いた右手の上にもう一方の片手をのせる。