文化祭が終わった三週間後、あたしがこの一年一番楽しみにしていた行事がある。



『修学旅行?』



仕事終わりに電話してきた椋太郎が反復するように聞いてきた。





「場所は北海道でね、飛行機で行くんだ、すごくない?」




『…何日間?』



日程表をかばんから引っ張って目を通す。




「五日間だよ、四泊五日」



椋太郎は完全に黙った。




『5日とか修学旅行の範囲外だろ』




やっとかのように言葉を発する。




「範囲内だって、うちの学校の特徴のひとつだし」




『ただでさえここ最近会ってないのに5日もキスできないとか…』




「キスじゃないでしょそこ!普通会えないっていうでしょ!」




狙ってたらしく椋太郎はふっと笑う。




『その間だけビール彼女にする』



「ビール腹になって終わるね」




電話越しでそれはやだな…とかなんとか言ってる。