「胸のでけえ姉ちゃんとか知らねーよ」



そのフレーズに聞き覚えを感じた。




あんたが散々あたしを不安にさせる言葉じゃないか




「いや、気遣いはありがたいけど…」




「いいよ」




椋太郎はそう言ったあたしにデコピンをした。




「彼女いるし、別れるつもりもないから」



いちいちかっこよすぎるんだよこの野郎。






「言ってなかった?紹介するつもりないから」



それでも電話の相手の人は何か言ってるらしく



「後で掛け直す」



そう言って電話を強引に切った。




「アホ、簡単に行っていいとか言うな。無理する癖に」



全部わかってるんだから…




「だって…会社の付き合いでそんな気を使わないでも」




「唯花さぁ、普段はあれだけ突っ込んでくるじゃんか。こういうときこそ『行くな』って言いなよ」




それが言えたら何も苦労はしてない。




照れ臭さにうん、とだけ頷いた。




椋太郎はそんなあたしを見て「もう少し遊ぶか」



と言ってあたしの手を掴んで引っ張った。