ナンパ男がしつこい件について






椋太郎が「ハッピバースデー」と一人で歌い始めた。



え、なにこれ。



そっと扉が開く。



店員さんがケーキを持ってきた。




ろうそくの火がゆらゆらゆれて、眩しい。




他の店員さんやそこにいたお客さんも歌ってくれた。




「ハッピバースデーディア …」




しん、と静かになった。




暗いながらも椋太郎の顔を見つめる。




「ゆーいか」




「「ハッピバースデートゥーユー」」




おめでとうございます!という声と、拍手に包まれた。




ろうそくの火を息を吹き掛けて消した。




そこで電気がつく。




お皿にはチョコで『Yabuduka Yuika Happy Birthday!!!』



と書いてあって、





ケーキはもちろんあたしが大好きな苺がたくさん乗っていた。





「…あ、ありが…と…」




気付いたら、感極まって




泣いていた。