「失礼します、お皿はさげてよろしいですか?」
「あ、はい」
店員がどんどん食べ終わった皿を片付けて行った。
「ケーキ持ってきますね」
「わかりました」
その店員と入れ替わるように帰ってきた椋太郎。
「…酒飲みたい」
「車で帰れなくなるし、色々めんどくさいからやめて」
こんな公の場でキス魔になられても困る。
「誕生日だし、シャンパンとか」
「それは今度あたしがいない時にして」
えー、なんで?と率直に聞いてきた。
「酔うと椋太郎が更にベタベタしてくるから」
水を飲んだ。
「でも前も普通に水口移ししたら飲ん「黙ろうか」
言わせない。そんなはずかしいことを思い出させるな。
「ていうか椋太郎、相当酔っぱらってたのに覚えてるんだ?」
「それは前の職業柄的にも酔っぱらって、記憶なくしたらお客さんに失礼だったし」
すごいな、そんなことまで気にして。
そんなことを思った時だった。
個室の電気が消えた。
「…え?」

