「知らない。昨日のことだったし」 「何、昨日何があったの?」 「だからあれにナンパされたらケーキ奢るから…って。それがあの駅前のケーキ屋だったし」 目線をそらす。 「ついていっちゃったの?」 あくまで静かに聞く。 頷くと、 「それで元ホストってわかったの?」 「そういうこと」 ふーん、と言ったあとに 「そいつの連絡先は」 「向こうだけ教えてくれた」 手を出されたのでポケットから名刺を取り出すと、 「…よりにもよってホストの名刺渡されたの?」 呆れるように言った。