ナンパ男がしつこい件について






店員に聞いてみると、これからずっと雨らしい。



傘が1つだけあるらしくて、それをくれた。




良い店で良かった。




「タクシーでもあればいいんだけど…」




明らかにない。




「取り敢えず駅まで行ってうちまで来ればいいと思う」




「そうだね」



外に出ると、傘を渡された。



「身長的に椋太郎がさしたほうが濡れないけど…?」



「唯花がさしたらいいよ、俺は大丈夫」




ぽんぽんっと頭を撫でられた。




そっと横を向く。



顔が赤くなった。




急に優しくするからこういうことになる。




その赤い顔に椋太郎の手が触れる。



少しかがんで、あたしの顔に近づいていく。



椋太郎の唇は普段よりも冷たかった。



一瞬で離れる。



「さ、帰ろう」