もう手も触れたくないくせになぜかポケットから名刺を取り出した。 椋という字に斜線が引いてあって、『郁村椋太郎』と雑な字で書いてある。 裏には『ひとことメッセージ』とある。 ホストの時はここにお客さんにひとことひとこと何か書いてたのか。 …やめよう、こんなの見るの。 「はぁ…」 ため息が自然と出てしまった。 なんか、あたしらしくない。 『歌舞伎町ホスト』 その響きに、眉を潜めた。