「…落ち着けって」 手のひらがゆっくりと頭を撫でた。 「別に落ち着いてるよ」 下を向く。 「メールで返せばいいじゃんか、『痴漢いるからさっさと来い』って」 「そんなこと…」 「俺だって今相当むかついてるし」 そうやってメールしなかったあたしに? 「ごめん」 混乱して、取り敢えず謝った。 「違うって。俺がむかついてんのはあのおっさん。そんで反省してるならいいっていうくそ優しい処分だよ。」 やるせないような顔になる。 「あと、何よりこう言うときに限って遅れそうになった俺」