マナーモードの携帯がブーブーと震えた。 『ごめん、遅れるかも』 ……………え? 嘘と言ってくれ。 おっさんには手を掴まれてるし、片手には彼氏さんからの絶望的な文面が表示されてるし。 両手に溢れんばかりの絶望を持っているぜ☆ …じゃなくて。 もういいや。 おっさん、知らないだろ。 女子高で作られる図太い神経。 心のなかでドヤ顔をした。 …次の駅で『痴漢です!』って言おう。 もういいや、それでいい。 女の子みたいに怖くて声を出せないなんてことは起きないんだな! 残念でした!