「……いやいや一方的に教えられても…」
「その代わり名前だけ教えて」
名前だけ…?
不審者すぎて顔がひきつる。
「へ、変な風に使うんじゃ」
「使わない。それだけ知っといたら俺が電話番号教えて、かかってきても名前教えてくれればわかるから」
道理には叶ってる…?
「…藪塚唯花です」
「あー、もう仕事自体は辞めたけどこの名刺使っていい?余ってて。今は別の仕事してるから気にしないで」
そう言うとボールペンあるところだけ斜線を引いて書き直してる。
「はいこれ」
渡された名刺には、
『歌舞伎町』『ホスト』、という単語があった。
「……………」

