ナンパ男がしつこい件について






「お母さん、家に帰ってきてない?」



「あ、うん。最近は全然」



「わかった。ありがと。あと、明日学校休む」



と言うと、少しだけ驚いた顔をした。




「ふられたの?」





「ううん、ちょっと歌舞伎町にどうしても行きたくて」




いつもとは違うあたしに、何かを感じたらしく、



おばあちゃんは「わかった」とだけ言った。





「椋太郎…」




こんなことを1日何回言ってるんだろ。



会いたい。



嫌われた?




会いたい。



本当は全部嘘だった?




会いたい。



椋太郎は、あたしのことなんてもうどうでもいい?



「だったら好きにさせんなよバカあ…」




涙を必死に止めても、無理だった。