「かからない…」
夜になっても、朝になっても、
電話はかからなかった。
携帯落とした?
壊した?
嫌な方には考えたくなくて、なるべく軽く考えられるようなことを考えた。
今日、帰りに駅にいなかったら明日学校休んで歌舞伎町に行ってみよう。
ポジティブに行こう、ポジティブに。
と、思っても、そんなに現実は甘くないらしくて。
どこを探しても、一時間待っても。
椋太郎は居なかった。
…こうなったら意地でも探してやる。
少し泣きそうになるのを必死で堪えてと一人で家に帰った。
「ただいま」
「まだ合否通知届いてないよ」
「…そっか」
忘れてた。合否通知なんて。

