急に不安を感じた。
何かあった?
ただ気づいてないだけ?
もどかしくて、どうしようもなくて、
お母さんに電話をした。
『唯花?どうしたの?』
「今日、椋太郎と一回も電話通じなくてさ」
『…それだけ?』
それだけって…
「今日入試なんだよ?絶対椋太郎、覚えてるはずなのに」
『てか唯花今日入試だったの!?』
後ろの爆音の音楽がうるさい。
「そうだよ。でさ、…名前なんだっけ、片桐、優雅だっけ。その人かしら知らない?」
『優雅くん?あ、椋くんの友達だっけ。今聞いてみる』
いっつも近くにいるな…
『…優雅くんも特に知らないって』
「わかった」
『入試、受かってるといいね』
「ありがと」
電話を切る。
「…なんにもないよね?」
真っ暗な携帯に向かって言う。

