毎日がはやかった。
毎晩毎晩必死に勉強と面接の練習をして、
寝そうになった時は椋太郎か華和に電話したりした。
椋太郎は仕事中だろうが寝ている時だろうがちゃんと電話に出てくれた。
華和も夜遅くまで勉強していて、良い目覚ましになると言ってくれる。
やれるだけのことはやった。
これでいけると
なんの心配もないと、
そう、思っていただけだった。
試験当日の朝。
「受験票は持った。髪結んだ。ちゃんと寝た。時間大丈夫。よし!」
頬に手をパンッとして気合いを入れた。
椋太郎に電話をしてみる。
「………あれ?」
電話に出ない。
仕事で気づいてない?
『お掛けになった電話番号は…』
仕方ない、か。

