笠原くんの視線の先には、 ………………和樹、がいた。 「黙って見てるなんて、お前も趣味 悪ぃな?」 挑発するような言い方に、 和樹は平然と 「は?敦美が俺を選ぶことは わかってたことだし 焦る意味なんてねぇよ」 そう、答えた。 その瞬間に、 止まっていた涙が再び流れた。 「ちっ……くそっ…」 笠原くんは和樹の答えに 舌打ちをして、何も言わずに 去っていった。