~俊~



小さい頃から、両親や親戚たちの期待の中心はいつも兄たちだったー…


~葵~



「じゃあ、君はー…?」


一瞬、


ほんの一瞬、そう言った俊君の顔が悲しそうに見えた。


…気のせいだったのかな?

私は陸君が何かを話している言葉に相づちをうちながら、そんなことを考える。

陸君のところに、走って来ちゃったけど、話の途中だったよね…?


「俊くっ…」


「葵。」


後ろから不意に名前を呼ばれた。


…なんだろう。果てしなく嫌な予感がビンビンするんですけど。


うん。私は何も聞いてない。


聞こえてなかったよ。


「…」


「ねぇ、葵?」


恐る恐る振り返ってみた。