「むぅかぁつぅくぅ!!」
学校からの帰り道。

今日も、家まで送ってくれると言ってくれた凪君たちと帰る。

そしてさっきあった事を報告中。

「何か、怖くない?感情がないっていうか…」

「それってさ…やっぱりあのときからだよな」

私の話を全部聞いてから、凪君と俊君が顔を見合わせる。

“あのとき”ー…?

「あっ…やっえと何でもないっ」

「そうそう!葵ちゃんは気にしないで!ね!」

「ふーん」

明らかに動揺している二人。

そういえばこの学園、初等部からあるんだよね。
つまり、中学生の時から五人は一緒なんだ。

あ、ちなみに私は中等部(高校)からだよ!

「初等部の頃のみんなってどんなだったの?」

「別にいいだろ。どーでも」

ふいっと顔を背ける凪君。
…話したくないのかな?


「葵」

家の前につき、みんなと別れ、玄関のドアノブに手をかけようとした私の腕を誰かにぐっとひかれた。

「ふぇ?理人?」

振り向いた先にはさっきみんなと一緒に帰って行ったはずの理人がいた。

何で??

「初等部の時の事は、みんな、思い出したくないだけで、言いたくないわけじゃなくてっ… だから、葵だけに教えないとかじゃないから…」

あれ?もしかして理人、私が話についてけなくて落ち込んでると思って慰めてくれてるの?

「あー…本当、参っちゃうな。理人には全部わかっちゃうのかぁ…」

「え?」

「うん。確かになんか壁を感じちゃったけど、言いたくないことって誰にでもあるでしょ?だからヘーキ!ありがとね!」


私は帰って行く理人の後ろ姿を見つめながら、「おやすみ」と小さく呟いた。