小さい頃から年の離れた兄貴がずっとコンプレックスだった。


父親の会社を継ぐのは長男、そして何かあったときのために次男。父さんも母さんも、二人を過激に可愛がった。「大事な跡継ぎだから」と。


昔の俺は兄貴たちを越えようといつも必死だった。


頑張れば、自分が会社を継げるかもしれない。父親のあとを継いで、そしたら父さんも母さんも俺を見てくれるかもしれない、って淡い期待を胸に、勉強もスポーツも苦手だったニンジンだって残さず食べれるようにした。


「頑張ったね」って。


「お前は自慢の息子だぞ」っていってもらいたかった。