消え入るような、体の奥から絞り出すような苦しそうな声に、胸がきゅーんて苦しくなった。


何かあったのかな?


そう思うけど、聞けない。

今の海斗は、迷子の子供のように泣きそうな顔をしてるから。


…もしかしたら、家のことで何かあったのかもしれない。


もしかしたら、凡人の私には理解できない問題かもしれない。


でもさ?


「…お金持ちの問題ってさ、私にはよくわかんないんだけど」


政略結婚とか、庶民の私には想像もできない。


「でもさ、んー…たとえば、海斗がどんなに恨まれて、憎まれてたとしても凪君だって陸君だって、理人君だって俊君だっているよ?」


私はきゅっと海斗の手を握った。