幸せ~


お肉の味を噛み締めていると。凪君が横から


「本当、葵って幸せそうに食うよな」


って言った。


だっておいしいんだもんっ!


三切れ目に手を伸ばした時。


「葵さん?」


ふと聞き覚えのない声が、後ろからした。


「ふぇ?」


振り向いた先にいたのは、俊君と俊君の婚約者の女の人。


肩まで伸ばした髪をふわっふわに巻いて、目もとには濃いアイラインが引かれている。


つけまなんてバシバシに盛られてあって、なんか一種の妖怪みたい。


香水の匂い半端ないし。