「雅木…何でいるの…」

私の頭の中は真っ白になった。
雅木は、大ケガをしているのに…。
クラブには来てないと思っていたのに…。
何でまた助けてくれるのか。

「何でいるの?じゃねぇよ!ちょっとは自分の心配もしたらどうだよ!」

私は自分の足が震えているのに気がついた。
歯はちゃんと噛み合っていない。
恐怖にあったとしか思えないぐらいの動き方だった。

「ごめんね、また助けてくれて…」

私は泣きそうになった。
いつも助けられて情けない。

それに気づいたように雅木は

「福部!こいつをちょっと借りる」

そう言って坂崎にも

「ちょっと抜けます」

そう言って私の手を引いたまま無言で裏庭に行った。

その時妙な目線を感じたのは気のせいだったのだろうか?

裏庭には私と雅木だけだった。

「何かあったのか?」

ビックリした。
何でそんな事にも気付いたのだろうか。

「うん、ちょっとね…」
「俺でよかったら話聞くけど」

真剣な表情。
話したい気持ちになったのはその表情を信じたからだ。

「実はね、亮磨に怒られちゃってさ…」
「亮磨に…?」

雅木は驚いてるようにも見えた。

「そう。だから気にしちゃってさ」
「気にしなかったらいいんじゃないかな?」

「気にしちゃうよ…」

すると雅木は怒ったように

「そんなにアイツの事気になるのかよ!俺だけのお前でいてくれよ…」

そう言って雅木は裏庭を出て行った。

その私はドキドキが止まりはしなかった。