「こ、ここが飯沼の家だ…」

「そ、そうか…」

「じゃ、じゃあ入ろうか…」

「う、うん…」

ウチ達は雅木の家に入った。

「おじゃましまーす…」

ウチは小さな声でそう言った。
すると奥から雅木が出てきた。

「いらっしゃい!!」

18歳の雅木。
目の前に居る雅木はまるで別人だった。
顔や声がすごく変わったんじゃない。
服や髪が変わったんじゃない。
でも別人だった。

「久しぶりだな飛鳥」

「うん!!雅木もね」

ウチと雅木は笑いあった。
けど雅木の表情にはどこか寂しさが見えた。

「じゃあ入って入って」

雅木がそう言うとウチと畑山は中に入った。

中は思ったよりキレイだった。
家具や壁紙などは全て黒っぽい色だ。

「へぇ~…。意外にキレイだな」

ウチがそう言うと雅木は軽くウチにチョップをした。

「ぃった!!」

「余計な事言うな」

「な、何それー!!」

「まぁまぁ2人ともやめろよ。大の大人がさぁ」

畑山はそう言ってウチらを止めた。

「それより早く準備しようぜ?なっ?」

「それもそうだな…」

「じゃあ始めよっか…」

ウチはそう言って雅木の部屋のキッチンを借りた。
ウチは料理担当。
雅木は部屋の飾り付け担当。
畑山は買い出し担当。

「じゃあ適当に買ってくるな」

「うん!!行ってらっしゃい」

「おう!!」

畑山が出て行った雅木の家はウチと雅木の2人だけになった。

それからしばらく沈黙が続いた。

そしてこの時沈黙を破ったのは雅木だった。