「今何て言ったの…?」

私は頭が真っ白になってしまった。
何が起こっているのかも分からなかった。
ただ1つ頭に入ってるのが雅木の一言。

『俺の好きな人はな、お前だよ!』

今の言葉が夢だったら…。
今の出来事が夢だったらどんなにいいか…。
けれど、夢じゃない現実だ。

「俺はお前が好きなんだよ!」

「意味がわからない…」

考える時間の無い私に、そんな事が理解できるわけがなかった。

「じゃあ、どうやったら理解できるんだよ…」
「だって、私はてっきり未来の事が…」

そう言った時の雅木の顔は寂しそうだった。

「みんなそう思うんだな。」
「えっ?」

悲しい顔で雅木は話した。

「俺さ、昔から誤解されやすくて。今も好きな人を誤解されてたじゃんか…。
でも、俺なずっとお前に一筋だったよ。」

それを言われた私はある「言い訳」を言ってしまった。

「でも、実行委員になったのも未来がペアだったから…」
「違う!」

雅木の声は私のセリフを消すようにかぶせてきた。

「違うんだよ…」
「何が違うのよ!?」

雅木は私の顔を見て恥ずかしそうに言った。

「お前があの時言った言葉…」
「えっ?」

雅木はしょうがないみたいな顔をしてこっちを見た。

「お前が、早くしてほしいって言ったろ…」

私はその事を思い出した。

文化祭実行委員を決める時に誰も手を上げなくて…。

早くしてほしかった。
その時に雅木が手を上げたんだった…

「じゃあ、実行委員になったのも…」

恥ずかしい顔をして雅木は

「お前のためだよ…」

私が黙っていると

「嫌だよな…」

苦笑いな雅木に

「そんな事ないよ!」
「えっ?」

私は必死に話していた。

「私は嬉しかったよ。すっごくね!ただ、びっくりして話せないだけだよ!」

あまりにも必死な私に雅木は

「ははははっ」
「何がおかしいの?」

ぶすっとしてる私に

「いや、どんだけ必死なんだよって思って」
「もう…」

私たちは笑いあった。

その時に未来の事を考えている私は居なかった。

それでも未来のセリフは頭でこだまし続けていた。