和田菜月物語

その様子を見て
麻奈は少しムスッとしていた。

「どうしたんだ片桐?」

せなは
その様子に気づいて片桐に話しかけた。

「いやぁ…。ちょっとね…」

「焼いてるのか?」

「えっ!?」

「図星だな…」

「もう…」

「焼かなくても平気だぞ」

「何で?」

麻奈はキョトンとしていた。
するとせなは悲しい顔をして言った。

「菜月が好きなのは…」

そしてせなが何か言ったのと同時に
料理対決の始まりのチャイムが鳴った。

その時の麻奈の表情は
驚きを隠せないようだった。

「でも…、その人って…」

「俺が言える事はここままでだ」

「ちょっ!相川!!」

「…あと1つ」

「えっ…?」

「俺の名前は高島せなだ」

「はっ!?」

「じゃあ俺はここで」

「えっ!?ちょっと待っ…」

「バイバ~イ」


麻奈は私の方を見た。
そしてせなが言った事を思い出した。

「何で…?菜月…?」

私達はそんな事も知らず
料理を作っていた。

作る係だった
西山と飛鳥と未来と雅木。

ただひたすら
無言・無心で作っていた。

けど
私だけは無心じゃなかった。

ただただ心配だった…。

亮磨の事が…。