和田菜月物語

「菜月…」

不安そうな顔をして来たのは未来。

「どうしたの?」

「あのさ…。菜月…」

「ん?」

「飯沼君と何かあったの?」

「えっ!?」

「図星なの…?」

「いやぁ…」

私が逃げようとすると未来は
私の手をつかんだ。

「み、未来?」

未来の顔を見ると
未来の目には涙が浮かんでた。

「どうしたの?」

「…飯沼君悲しんでた」

「えっ?」

「飯沼君悲しんでたよ!」

そう言って
未来はその場に座り込んだ。

「ごめん…」

「ううん。菜月のせいじゃない」

「えっ?」

「私が勝手に泣いてるだけ…」

(私のせいじゃんか…)

「5分前だから、もう行くね」

「うん。私は遅れてから行くね…」

未来の目が腫れた顔は
最高の笑顔だった。

(仲直りするよ…。ちゃんとね…)

私は未来に向けて最高の笑顔で
返したつもりだ。