和田菜月物語

「もしもし」
【あっ、小太郎?】
「…翔子?」
【うん!…取り込み中だった?】
「いいや、大丈夫だ」
【良かった。言いたい事があって】
「何だ?」
【見つけたんだ】
「何を?」
【小太郎の言ってた人…】
「えっ…?」
【しかも沖縄に居るよ…】
「アイツが…。ここに…?」
【うん…。実はもっと前からいたんだ…】
「そっか…」
【本当にごめんなさい…】
「何で謝るんだ?翔子のせいじゃないだろ」
【でも…】
「心配するな。俺が何とかするから」
【うん…】
「俺にはお前しかいないんだから」
【小太郎…】
「お前はどこにも行かないでくれよ…」
【もちろん!】
「それより翔子…」
【ん?】
「和田の事はどうするんだ?」
【…実は迷ってるんだ】
「えっ?」
【何かつらくて…】
「翔子…」
【変な事言ってごめん】
「ううん。俺は翔子に従うよ」
【小太郎…】
「せなでも分かってくれるだろ」
【うん。ありがとう】
「あと2日。そしたら俺は家から出る」
【えっ…?】
「もう迷惑はかけれない…」
【そんなぁ…】
「悪いな…」
【嫌だよ…】
「翔子…。でもな」
【信じてる】
「えっ?」
【私は小太郎を信じてる】
「翔子、俺は…」
【じゃあ切るね…】
「おい!翔子!」
【またね】
「おいっ!翔…子」

前田はその場で大きなため息をついた。
私は何が起きてるのか分からなかった。

(翔子が前田と電話をしていた?翔子が?あの翔子が?何がどうなってるの…?)

私はゆっくりと立ち上がって
その場から離れた。

この時私の中で何かが起きていた。
私を痛めつけてるような何かが…。