「こんなに君の事好きなのに…。
 君はどうしてあの子しか見てないの?
 私は誰よりも君が好き…。
 それしかあの子に勝てないんだね…。
 でも追い続けるよ。
 あなたが振り向いてくれる事を願って」

私は
足を止めた。

そして
おそるおそる屋上を覗いた。

そこにいたのは
由紀で間違えなかった。

でも何かが違った。

いつもポニーテールしてるのに
今日はストレートだから?

いつも眼鏡をかけてるのに
今日はしてないから?

それとも
あの歌を歌ってるから?

だから…。

だから翔子に見えてしまうのかな…?

私は
部屋に戻って行った。

「ぅ、うぁぁぁぁん」

私は泣いてしまった。

(あれは絶対に翔子だよ…)

安心してしまったのかな
それとも、悲しかったのか分からなかった。

ただ涙は止まらなかった。

あふれてくるばかりだった…。

なんの涙かもわからなかった。