~大志side~

学校から一度帰宅した俺は、クローゼットの中に大切にしまってある真っ白な特攻服を取り出した。


久しぶりに見る特攻服は今も色褪せることなく、過去を背負っている。


背中に金色の刺繍で彫られた『浜中』の大きな文字。


裏側に、同じように金色の刺繍で『浜中勇士』と、名前が書かれている。


昔、浜中チームのトップをとっていた、俺の兄貴の名だ。


10歳年上の兄貴が、高校を卒業するときにこれを俺にくれた。


『今は俺の後輩が浜中のトップに立っているが、いつかお前がトップをとれ。


そしてその時、またこの特攻服を着ろ』


そう言って、何も分からなかった8歳の俺にこれを託したんだ。