「男? どんな?」


「まだ会場内が暗かったから、わからない。でも、背はあんたくらい大きかったよ」


そう言い、女はちらっと俺の方を見た。


「薬って、どんな薬?」


「それも、わかんない。袋には入ってなくて、そのまま何錠か渡されて『楽しくなるから、飲んでみろ』って……」


「それで飲むなんて、お前ちょっとおかしいぞ?」


普通、見ず知らずの男からもらった得体のしれない薬なんか、飲まないだろ。


女はふくれっ面をして「どなってもいいと思ってるから、自分のこと」と、呟いた。