そこには、子供を抱いた奥さんと一緒に、兄貴の勇士が立っていた。


久しぶりに、実家に顔を出しに来たのだろう。


手にはお土産の袋が握られている。


「あぁ。ちょっと、行ってくる」


「おい、大志」


兄貴が俺の名前を呼び、腕を掴む。


「なんだよ」


一刻も早く千沙の元へ行きたい俺は、久しぶりの兄弟の再会を楽しんでいる暇はない。


「切羽詰まってるみたいだな。1人で平気か?」