突然千沙に声をかけられた女は、戸惑ったように目をパチクリさせている。


少し離れた場所では、強が眉間にシワを寄せているのが目に入った。


その様子に俺は思わず笑ってしまいそうになる。


強が集会後家に招く予定だった女を、千沙が連れて帰ろうとしているのだから、おもしろい。


なかなか動こうとした強の女に、俺は「一緒に帰れ、ここからは男の世界だ」と、きつめの言い方をした。


前回の女に比べれば裏の世界を知っていそうな女だったが、千沙同様に守ってやるのが正解だと思ったから。