「千沙、お前はそこにいろ。俺の目の届く場所から動くんじゃないぞ」


ようやくステージ前までたどり着いた千沙に、釘をさす。


「うん……」


珍しく、俺の言葉に素直にうなづく千沙。


さすがに、何百人と集まった男どもの中にいることで緊張しているのだろう。


千沙の顔には不安が浮かんでいた。


本当に、世話が焼けるな。


そう思いチラっと福元へと視線を向けた。


俺と目が合った福元は軽く笑って、千沙の手を握ってくれた。


千沙は少し驚いたような顔を福元へむけていたけれど、さっきよりも柔らかな表情になった。