その後ろ姿が完全に見えなくなった所で、私は家に入った。


玄関のドアに寄りかかり、深く息を吐いてから、まじまじと今度は指輪を眺めた。


照明に照らされて光輝く雪の指輪に、私の体から落ちた本物の雪が重なる。


水分に濡れて更にキラキラ度が増した指輪を見ているだけで、口元がゆるんで大変。


だけどこれからもっと笑顔になれる日が待っているかと思うと、これ位許して欲しい。


「今度……名前で呼んでみよっかな」


私と久保先輩の真冬の寒さも吹き飛ばす温かい歴史は、まだまだ始まったばかりです。


「ただいまぁーーっ!」









――――END――――