【短】Snow Ring

プシュ~~~ッと湯気を噴き出す私を、久保先輩はどう思ったのだろうか。


「もうそろそろ家に入った方がいいな。風邪引いちまう」


そう言われて、私は門を開けて家の敷地内に入った。


門を挟んで先輩と向き合い、小さく頭を下げる。


「久保先輩…指輪、本当に本当にありがとうございました。この指輪、ずっと大切にします」


右手を顔の横に手の甲を先輩側に向けてかざすと、久保先輩は白い歯をチラッと見せて、爽やかに微笑んだ。


「じゃあな唯二。また明日」


「ハイ……また明日」


踵を返して去ってゆく先輩の後ろ姿を、ジッと見つめる。