「さ、行くか。哲はここにいろよ」

「うん」


俺を残すと、信司は一人で佐緒里ちゃんの部屋の前へと進む。
一階の一番奥が佐緒里ちゃんの部屋みたいだ。

玄関の前に立つと、インターホンを押した。

そんな信司を俺は見守る事しか出来ない。


だけど、信司なら大丈夫だ。


だって、俺の自慢の幼馴染なのだから。


ほら。
出て来た佐緒里ちゃんは目を真ん丸にして驚いてたけど。


…涙を流しながら、信司と抱き合ったんだから。


何を言ったのか、言われたのか。
それはわからない。


でも、二人がうまくいった事。
それだけが事実なら。


それでいい。


俺は緩く口角を上げると、その場を立ち去った。


何て、心が温かいのだろう。
ここまで幸せな気持ちになれるなんて思ってなかった。

よかった。
本当に。


家に帰宅して、俺は胸がいっぱいになりながら眠りに就いた。


起きてから。
信司から【ありがとう。】とメールが入っていて更に心が温かくなった。