「哲さん、バイクどこー」

「駅前に置きっぱ」

「えー、もう閉店してんじゃないの?」

「まあ、俺従業員専用に置いてるから」

「ああ、そっか。くそ、羨ましいぜ」

「はははっ。朱美ちゃん、今日は出かけて来たの?」

「あー……うん、佐緒里とね」

「え、佐緒里ちゃん?久々だ」


バイク置き場まで二人で並んで歩く。
佐緒里ちゃんとまだ会ったりしてるとか、花蓮の絆って本当に凄い。

素直に感嘆の声を漏らすと、朱美ちゃんは顔をしかめた。


「……佐緒里、荒れてんだよね」

「え?」

荒れてる…?
意味がわからなくて、真意を問いただそうと朱美ちゃんを見る。

だけど。

「まー…佐緒里にも色々あっからさ」

そうやって、苦笑いを俺に見せて話を終わらせた。
これは多分、聞かないでくれって事だろう。

「そっか」

俺は前方に視線を戻して呟くように言った。