仕事が終わった後、携帯を開くと朱美ちゃんからのメールが届いていた。

【哲、お疲れー。
今日、また親の手伝い行ってくるわ。
心配すんなよー。】


スナック。
それが嫌だと思うけど、制限する権限が俺にはない。

それに、きっと俺が頼んだら朱美ちゃんはあっさりと引き受けてくれるはず。
なんか、それって勝手だって思って言えなかった。



【今、終わった。
わかった、でも、心配します。
男ですから】


そう返信して、俺は携帯を閉じた。


「店長、お疲れ様でした」

「あ、お疲れ」

「まだ帰らないんですか?」

「ちょっとだけ残るわ」


雅紀にキムが俺に声をかけてから、帰って行くのを笑顔で見送る。
一人になってから、俺は裏に入り椅子に腰かけた。

ギシっと言う音がして、椅子が軋む。
背もたれにどっぷりともたれた俺は一つ溜め息をついた。