「こないだ哲君、見ちゃったよ」

「え、いつですか」

「女の子といた」

「え」

「二人でカラオケから出るとこ見ちゃった」

「あ」


朱美ちゃんと出かけた時か。
てっきり…侑美ちゃんかと思った。


「綺麗な子だったね。あの子」

「…そうなんです、とっても綺麗なんです」

「…あの子が前に言ってた子じゃないよね?」


“何、そんな子がいるの?”

“えっ?”

“好きな子、って事”


「…彼女は違います。でも、俺の大事な子です」

「そっか。何だ、とってもお似合いだったのに」

「そうですか?照れちゃうな。
でも、俺には勿体ないですよ、彼女」


朱美ちゃんは真っ直ぐで、優しくて、さりげなく気遣える。
笑った時の顔とか、凄く綺麗なんだ。